2004年02月 第1冊
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山田風太郎 「死言状」 角川文庫
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歴史小説を週1冊ペースでゆっくり読んでます。
当たりハズレもあるので、面白かった本だけ紹介したいと思ってます。
いや、つまらんかったら腹が立つので書きなぐるかも。
私は南條範夫と海音寺潮五郎の作品コレクターなんですが、
この両人ばかりを読んでいては、他の宝物を知らずに過ぎますので、
いろいろ手に取ってます。
そんな中、最近、山田風太郎を読み出してます。
今まで、彼の作品はなんとか忍法帖といった荒唐無稽な
作品イメージが強くて敬遠してたんですが、明治モノの面白さで開眼。
戦国時代・江戸時代・幕末維新モノの作品は山ほどありますが、
明治維新も落ち着いた明治時代以降の作品はいろんなシガラミが
あるのか、作品が少ないです。
そこをこの天下の奇人がたくさん書いてますので、
みなさんも読んでみてはいかが。
今回の「死言状」は随筆集みたいな老人のぼやき漫才です。
博識な人の随筆は面白いものですが、この人のエッセイは実に愉快。
ものの見方も変ってるし、彼の行動そのものが奇行なのに、
本人は至って真剣。
笑える話が満載です。
しかし後半は自分が死んだら...という内容が多くなります。
彼が死ぬ死なないには関心低いんですが、
死ぬ時になんと言って死のうか、
とグダグダ語ってます。
でも何故か暗くならないのが、彼の不思議な魅力です。