2004年06月 第21冊
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山本文緒 「恋愛中毒」 角川文庫
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ズバリ!お薦め。
グイグイ読み、ぐいぐい引き込まれ、嗚呼っと驚き、うーんと終わりました。
吉川英治文学新人賞受賞作ですが、どこが新人賞なんじゃ?という文の上手さ。
構成が秀逸で、冒頭の語り部がいつの間にか消え、最後は脇役になっている妙味。
ネタバレを避けつつ概略を述べるのは難しいですが、題名の「中毒」がキーワード。
400ページ程の本書だが、最後の50ページくらいまで主人公に寄り添っていた読者が、
最後の50ページでゾっとして突き放したくなっていく急展開は見事。
こうなるような予感はあったものの、現在と過去の世界を反復してゆくうちに、
主人公の本性が剥き出されてゆき、これは正直マイリマシタ。
早速、メルマガ「なんでも読書」お薦めの「みんないってしまう」も買いました。
ついでに「絶対泣かない」も買っちゃった。
この書を読んだ人のほとんどは、彼女の他の作品を読まずにいられないのではないでしょうか。