2004年06月 第22冊
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神谷次郎 「悪のお家騒動学」 経済界
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敵討ちと並んで好きな歴史ネタ「お家騒動」、
ほんま私は他人の不幸が好きなのでございます。
本書は昭和58年刊行と、これまた早稲田の古書街で漁り見つけた廃刊本。
全26藩のお家騒動を取り上げ、資料的価値もある本書ですが、
「お家」=「会社」と見立てて現代のサラリーマン社会を鑑みる姿勢はつまらなかった。
武家社会の話なんだから、強引に現代社会に当て嵌めなくてもいいよ。
戦前頃まではこの「お家騒動」をテーマにした
勧善懲悪お芝居が多数上演されていたそうです。
ですから一般庶民にとっても大槻伝蔵や小栗美作を知っていたでしょうが、
どちらが是でどちらが非であるかは判然としないのが事実のようです。
私が敬愛する海音寺潮五郎の代表作に「列藩騒動録」(講談社文庫・廃版)
というお家騒動の連作集がありますが、
実際は大小合わせるともっと沢山の騒動があります。
本書で初めて知った騒動では「白黒騒動」(小倉藩)。
小倉城を脱出した四家老が滞留した「黒崎」という地名にちなんだ「黒党」、
小倉城に残留した「お城」をもじって「白党」の対立などユーモアがあります。
他にも面白いというかクダラナイ人間の欲望の縮図みたいな話がごろごろ
書き連ねてあり、短編時代小説を書くにはいいネタになるでしょう。
でもどの古書店行ったら売ってるのか、それが問題です。