2004年06月 第23冊
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滝口康彦 「権謀の裏」 新潮文庫
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6月9日、何冊か親しんでいた滝口氏死去を新聞で知り、
本書を読み始めました。
鎌倉期の「曾我兄弟」より幕末期の「桜田門外の雪」まで
時代背景を分散させた短編10編。
「曾我兄弟」は歌舞伎などでネームは有名だが、
細かい所までは内容を知らなかった。
鎌倉初期の、幕府創設後の粛清期の題材は少ないので目新しい話だった。
梶原や三浦・安達など幕府創設の功臣が北条家の陰謀によって次々に
葬られてゆく様は、徳川幕府初期の外様藩改易と類似していて面白い。
著者の作品の中で、「異聞浪人記」というものが
「切腹」という映画になっているそうだ。
今度レンタル店で探してみようと思う。
著者のご冥福をお祈りします。