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2004年07月 第26冊
山田風太郎 「怪異投込寺」

山田風太郎  「怪異投込寺」  集英社文庫

江戸時代を舞台にした妖艶・怪異もの5編を収録。

「踏絵の軍師」
歴史の「その後」が好きな人には、竹中半兵衛の子孫がどうなったかは気になるところ。
半兵衛死後、七歳になる喜平治が勢州長島六万石を秀吉から賜るが、
小牧長久手の戦いで秀吉に反抗。
一挙に百五十石の捨扶持状態になる。
しかし、その後関が原の戦いで盛り返し、豊後府内二万石の大名となる。

本編の主人公はその子、采女正が長崎奉行として切支丹弾圧を行うが...。

「怪異投込寺」
ここでは葛飾北斎と東洲斎写楽が、不思議な巡り合わせで物語は進んでゆく。
花魁・地獄大夫を中心とした妖しくも美しい世界の描き方は、風太郎ならではの物。

他にも「芍薬屋夫人」「獣人の獄」「地獄大夫」と妖しい題名の小説ばかり。
それでいて気品を失わない文体は流石、夏の夜に一読をお薦め。






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