2004年11月 第54冊
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鷺沢萌 「帰れぬ人びと」 文春文庫
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今年もいろんな方が亡くなられましたが、私にとって大切な日に
亡くなられたのでショックでした。
私はこのメルマガを始めるまで男性作家中心で読書してきたんですが、
メルマガが女性のものの方が面白いので、
今年は読んだことも無い女性作家を意識して開拓しました。
宮部みゆきしかり、平岩弓枝しかり、山本文緒しかり、二ノ宮知子しかり。
あれ?最後の人は漫画家だっけ?
純文学の女性作家というと、もうちょっとネチっこいものとか、風景描写が多かったり
するんだろうなと思ってたんですが、どんな本でも読んでみなけれりゃ分かりませんね。
本書の舞台は貧しかったり暗かったりするんですが、
何故だか文章が清澄で、この人のファンが多いのも頷(うなず)けました。
表題作「帰れぬ人びと」ほか「川べりの道」「かもめ家ものがたり」
「朽ちる町」の全4篇の短編集だが、どれもが味わい深く
とても二十歳前後の作品とは思えない出来映えだ。