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2004年11月 第55冊
池波正太郎「鬼平犯科帖3」

池波正太郎  「鬼平犯科帖3」  文春文庫

「鬼平3」であるが、いやはや実に面白い、間違いない。
私は歴史小説愛読家としても、吉川英治・司馬遼太郎・南条範夫・海音寺潮五郎・・・と
陽のタイプの作家を読み進んできたが、この正太郎という人は
何とも酸いも甘いも心得た、心憎い味を出している。

鬼平が実にいい男に書かれていつつ、若い頃は乱暴で無茶なこともやらしているし、
手下の忠吾らに対する厳しくも温かみのある眼差しは、理想の上司に映る。
鬼平の友人・左馬ノ助なんかの使い方もほろりとさせられる。
そう、主人公はもとより、周りの登場人物一人一人のキャラが立っていて、
その相乗効果で作品がより映えているのだ。

ところで、「ゴルゴ13」で有名な劇画家さいとうたかおが、
この「鬼平」を劇画化して久しいのはご存知だろうか?

私はこの劇画も大好きで、大好きだけど小説より先に
読んでしまうといけないので、そのジレンマに陥っている。

ただ、この劇画を少しでも目に入れておくと、小説を読む上でも随分空想がし易くなるし、
江戸時代の日本の風景がすみずみと思い起こされて楽しさ倍増である。






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