2004年12月 第59冊
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木尾士目 「げんしけん」 講談社「月間アフタヌーン」 連載中
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いつぞや、二ノ宮知子著「のだめカンタービレ」もこのコーナーで採り上げたんで、
これかてええやろぅと思い、書いちゃいます。
私は音楽も聴けば小説も読むんですが、漫画も大好き。
漫画はヲタクって程でもないんだけど、読んでる量はかなりだと思う。
そんな時間はどこにあるの?って思われるかもしれませんが、
その代わりTVはあまり見ません。
ですから職場でもドラマやスポーツの話は蚊帳の外。
「あはは...そうなんだぁ、面白そうだね、今度見てみるね」
嘘ばっかりついてて御免なさい、こんな事言って見た例が無い。
私は私なりに忙しいんです。
さて今日、大推薦さして頂く漫画がこれ!
「ヲタク」について、真っ向から描いている点が今までに無い感動さへ覚えます。
我々もクラシックにおいては負けじとヲタクなんですが、
この漫画ではアニメ・ゲーム・コスプレ等に集まる大学サークルの実態を描いています。
現在第5巻ですが、月刊誌にて連載中なので、
もどかしいほどのテンポでまったりとヲタク大学生達の群像劇です。
「月間アフタヌーン」は青年誌ですので、
触れにくいデリケートな面にもかなり切り込んで書かれています。
単なる大学生のドタバタやラブコメに終わらず、
ヲタクならではの屈折した性の問題も重要な素材なのです。
「のだめカンタービレ」では、音大・クラシック・恋愛なんかをコメディ・タッチで
描いてるんですが、やはりクラシック界の真髄(ドロドロ)を描いている訳ではない。
面白さは無類だが、ヒロインののだめに天賦の才があるのだから話も美味くいってしまう。
クラシック界で穢れ無き青年が、大人達のドロドロとした野望の海を渡り泳いでゆく...
そんな作品が近いうちに出てくれれば大反響もしくは抹殺されるだろうに。
その点この「げんしけん」では、単なるヲタク達の動静を描いている訳だから、
天才的な活動でも何でも無い。
また、作者の木尾士目って人がリアリティ志向が強い作風。
この本で魅せられて、前作の「五年生」「四年生」も読んだんですが、
これがまぁ現実を淡々と描いていく。
あんまりそういう事まで書かなくっても、ってな事まで書きたい人みたいで、
この人の思考回路は私小説タイプですよ。
でも、そこが漫画としては新鮮で、何かを突破してくれそうな力を感じる。
ちなみに「げんしけん」とは「現代視覚文化研究会」の略。
ここに集うヲタクおよびヲタクじゃない面々の活動が綴られています。
最近第5巻が発売されたんですが、70万部を突破し、
弱小雑誌連載の漫画としては異常な売れ行きです。
深夜ですが、アニメ放送もされておりますが、原作(漫画)からお読み下さる事をお薦めします。
ほんまにお薦め。