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2004年12月 第60冊
中村彰彦「明治忠臣蔵」

中村彰彦  「明治忠臣蔵」  角川文庫

師走と云えば忠臣蔵の季節ですが、みなさん忠臣蔵ものはお読みでしょうか。
私は一味違ったテイストを求めて、明治4年の仇討話を読んでみました。

場所は加賀前田家、時は幕末、筆頭家老の本多従五位政均(まさちか)が刺殺された。
家老本多家の家臣たちは激昂するが、犯人は仇討する間もなく処刑されてしまう。

直接犯は2人だったが、共謀者が5人いた。
それぞれ刑罰が加えられるが、遺臣たちはどうにも納得する事が出来ず、
仇討が計画される。

この流れは赤穂浪士さながらなんですが、時代が明治に移り、
世の中がどんどん変転するのに仇討を目指し続けるのが大きな相違点。

著者の作品は、昨年も1冊読んだんだが文体が硬い。
本人も「正統的な歴史小説を書いてゆこうと思う」と語っているように、
著者の作品は「歴史小説」であって「時代小説」でない。

このへんのニュアンスは南條範夫(時代小説)が好きで、
かつ海音寺潮五郎(歴史小説)も好きな私には分かるが、
司馬遼太郎あたりが好きな人には近づき難い文体だと思う。

世の中では赤穂浪士が今も根強い人気があるが、
この加賀前田の本多義士も今少し思い起こされてもいいのにな、
と考えた次第です。






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