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2004年12月 第64冊
百瀬明治『「適塾」の研究』

百瀬明治  『「適塾」の研究』  PHP文庫

みなさん、適塾って覚えてますか?
高校の日本史で、暗記用語として覚えていた「緒方洪庵&適塾」。
大阪の蘭学塾ってくらいしか識らなかったんですが、
本書ではその適塾を研究しちゃってます。
幾分小難しい本です。

しかし適塾出身者は有名人がゴロゴロ。
大村益次郎(兵部大輔)、佐野常民(日本赤十字創立)、橋本左内(越前藩)、
大鳥圭介(歩兵奉行)、福沢諭吉(万札)、高松凌雲(同愛社設立)。
当時の世相を現していて、官幕入り乱れての大活躍です。

適塾そのものは、大阪の民間蘭学塾です。
洪庵は主に蘭医師として活躍し、最終的には実力を請われて
幕府の奥医師兼西洋医学所頭取となります。

当時の医師としては最高の役職で、現代で言えば東大医学部長かな。
しかし権威よりも教育に時間を割きたかった洪庵としては、
多忙に多忙が重なるだけで不本意だったようです。
奥医師就任から一年余りで、突然の死を迎えます。

しかし彼の薫陶を受けた塾生たちはさまざまな分野で大活躍をし、
福沢諭吉の慶応義塾から更に人材が飛び立ったことは御存知のとおりです。
諭吉の慶應が圧倒的大学として君臨してますが、
洪庵の適塾は大阪大学医学部に流れを注いでいるそうです。

関西の医学界では、京大よりも阪大の方が重きを置かれているのは、
こういった事情もあるからなんだなぁと識りました。






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