2005年02月 第69冊
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平岩弓枝 『御宿かわせみ5』 文春文庫
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「恋ふたたび」「奥女中の死」「川のほとり」「幽霊殺し」「源三郎の恋」
「秋色佃島」「三つ橋渡った」からなる短編7編。
シリーズ作も第5集ともなると登場人物たちに愛着が沸くし、主人公カップル以外の
周囲の人物が主役を張ったりして、シリーズものの典型的な様相を生じさせてくる。
どの掌編も3〜40ページからなっているが、捕物ものとそしては
致命的にワンパターン。
なんせページ数が限られているくせに、主要登場人物は出さなきゃいけない。
そこへ「お宿かわせみ」にやって来たり絡んできた人物がキーマンとなるんだから、
犯人なんか悩んでる間もない。
だけど、それなのにこのシリーズが延々と続いていることには訳がある。
第5集あたりでようようとその雰囲気に感化されだしてきたんだけど、
読者はこの独特の世界に浸る事を楽しみにしているんだろう。
登場人物たちも少しづつ「生きている」ところが面白い。