2005年08月 第104冊
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殊能将之 『黒い仏』 講談社文庫
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ブック・カヴァー背面には、
「賛否両論、前代未聞、超絶技巧の問題作」
なんて書かれてますが、誇大広告とはまさにこの事。
そんなんずるいよ、といった妖魔術がトリックのネタで、
中盤まで熱心に読んだのがバカらしくなった。
著者の他の作品では「ハサミ男」「美濃牛」が売れているようですが、
買っとか無くて良かった♪、というのが真正直な感想。
仏教ミステリでして、仏教の深遠な神秘にご興味のある方は面白いのかも
しれませんが、無宗教無教養な私には関心も理解も出来ない世界。
そんな黒い仏に力があるのなら、現世の苦境を救ってみせてよ。
それを言っちゃぁ、宗教そのものの存在が揺らぐんでしょうが。
信じるものしか救わない、とは何て心の狭い了見でしょう。
ほんとの神様だったら、信じてくれようが毒づいていようが均等に御利益を
施(ほどこ)す度量を見せて欲しいものです。
無償の愛ってヤツを。
まぁそういうことで、全然お薦めできない一冊でした。