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2005年08月 第105冊
新潮社編『時代小説 読切御免』(全二巻) 新潮社編『時代小説 読切御免』(全二巻)

新潮社編  『時代小説 読切御免』(全二巻)  新潮文庫

様々な人の文体やストーリーに触れて見たい。
自分が知らないオイシイ作家がいないものかと日々思う。
そういう自分にとっては、こういったアンソロジーは嬉しい限り。
ちなみに作家陣は以下の通り。

第一巻

北方謙三  「杖下」
宮部みゆき 「謀りごと」
小松重男  「一生不犯異聞」
安西篤子  「刈萱」
南原幹雄  「決闘小栗坂」
皆川博子  「土場浄瑠璃の」
船戸与一  「夜叉鴉」

第二巻

北原亞以子 「傷」
安部龍太郎 「伏見城恋歌」
逢坂剛   「五輪くだき」
佐江衆一  「峠の剣」
杉本苑子  「一夜の客」
伊藤桂一  「赤城の雁」
津本陽   「死に番」

これら全てが各人の最高傑作ではないので、これだけで作家の良し悪しを
判定するのは無茶なんですが、漠然とその人の実力が浮き上がる。

意外なのは才女宮部みゆきで、こうして並んで読むとかなり劣っている。
選者が意地悪であえて劣作を載せたの?

どの作品もあの手この手で趣向が実にこねられている。
第一巻で光っていたのは安西篤子と皆川博子か。

どちらも女流作家だが、それだけに視点が新鮮で安西は「峠の茶屋」、
皆川は「浄瑠璃小屋の土場」を舞台としている。
こんなシチュエィションは初めて読んだ。

第二巻も光っていたのは女流・杉本苑子。
遣唐使に旅立とうとしている若き医師と一夜のもてなしをする老人の話。

女性は徳川家康とか宮本武蔵みたいな真っ向から大上段に振りかざす作品が
無いかわりに、こういった変則技は滅法強い。
遣唐使の、しかもその参加前の話などをよく思いつくものだ。

他にも佐江衆一の仇討ちものが良かった。
最近書店でもズラリと平積みされている同氏だが、人気の理由も良く分かる。






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