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2005年08月 第106冊
山本文緒『まぶしくて見えない』

山本文緒  『まぶしくて見えない』  集英社文庫

山文さんの「恋愛中毒」を読んでコレは素晴らしい作家だ、と惚れ込んで読んでいる。
しかし本書はどうも変だぞ?と巻末エッセイを読んだら、道理で納得。
かの有名なコバルト文庫からの移籍版だった。
そう、少女小説だったのです。
うわぁぁぁ。

しかし直木賞作家の若き日の習作だけあって、ひとひねり。
単なる秀才少女の受験&恋愛ストーリーでは無い。
それでいて少女たちにも無関心でいられない受験の、暗い部分を上手くひねっている。

何冊か山文を読んでみて、この人の若き学生時代は辛かったんだろうな、
と窺える。

読書にいそしむコバルト少女なんかには、本書のヘンテコ少女はかえって
共感を得るのかもしれない。

ラストがハッピー・エンドにならない少女小説ということで、
当時の業界では話題になったそうだが、私もこういった現実的な結末は好き。
苦くやるせないのも、青春時代ならではの特徴だもんね。






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