2005年08月 第107冊
-
宮部みゆき 『蒲生邸事件』 文春文庫
-
678ページに及ぶ長編パラレルワールド・ミステリー。
日本SF大賞受賞。
私の宮部読書は8冊目となるんですが、相当苦痛な一冊だった。
まず、長い。
内容的にも半分に集約できそうなシロモノ。
そしてミステリとしては致命的な、ハラハラ・ドキドキ感が微量。
前半の浪人生が火事に合って時空を飛んで、二・二六事件真っ只中の蒲生邸で
アタフタするあたりまでは読ませるんだが、蒲生大将が自決して探偵まがいの
行動するあたりが絵空事で、かったるいし長い永い。
事件も解決して現代に帰るまで約五百頁、
やっと終わりそうだと疲れたのが正直な感想。
しかし、一味、宮部女史が才媛たる所以は、現代に帰ってからのエピローグ。
ここはホロリとさせられます。
それだけに、中盤の蒲生邸での経緯をスピーディに颯爽と書いてくれていたら
かなりの名作になってたろうにと残念。
(とは云っても、日本SF大賞受賞作品なんですけどね)
宮部みゆきを、これから読もうと思っている人は、避けて下さい。