2005年09月 第115冊
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岩井志麻子 『ぼっけえ、きょうてい』 角川ホラー文庫
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ショッキングな表紙に惹かれて購入。
甲斐庄楠音の「横櫛」という日本画なのだが、
日本髪の青白い顔の女が怖い。
本書は表題作が四十ページ余りと意外に短いが、
岡山弁で語られる話が予想外に怖い。
最初は読みづらいのだが、数ページも読めば読みづらさより
面白さが打ち勝つ。
他にも五十ページ前後の恐怖短編集なのだが、どれも怖いけど面白い。
読後早速、著者の別の一冊を買ったほど。
私はその作家が気に入れば即座に他の作品を買っておく。
だから買わなかったら、それまでになってしまうことが多い。
表題作以外だって面白いよ。
「密告函」は、コレラ患者を根絶やしにするために村役場に据えられた投函箱。
主人公がこの函の投書をもとに、村を臨検するのだが...。
岡山の海村のドロドロした雰囲気が良く出てる「あまぞわい」。
どうなるんだろう、どうなるの?
と最後が気になってしょうがなかった「依って件の如し」。
日本ホラー小説大賞だけでなく、山本周五郎賞まで受賞した本格怪奇小説。
(久々に誉めた)