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2005年12月 第142冊
井上ひさし『不忠臣蔵』

井上ひさし  『不忠臣蔵』  集英社文庫

結論としては、疲れる読書。

討入りに参加できなかった19人の赤穂浪士(赤穂義士ではない)を
描いた吉川英治文学賞受賞作だが、ほとんどの短編で「ひとり語り」
といった手法を使っており、読みにくいったらありゃしない。

綿密に調べ上げられた無名の赤穂浪士の、数々の貴重なエピソードは
目も眩むくらいイイのだが、その語り手が独り延々と語り続ける構成が
読みにくい。

そんな低次元なレベルで判断するなよ、と云われそうだが、この本がもし、
このエピソードを使いまくったままで一般の小説形態で書かれていたら、
どんなに面白く楽しく読めたことだろう。
そう思うと、自分自身の読解力の拙(つたな)さが残念でなら無い。

著者は舞台台本を膨大に書いている人ですから、こういった独特な手法を
取り込んだんだろうし、玄人には大いに受けるんだろうけど、これじゃぁ
これからの若者は読まないだろうな。

本書は今から二十年ほど前に書かれたそうで、当時としては忠臣蔵の
先入観を打破するようなインパクトがあったそうだが、
最近はこの手の本もままあり、そうなってくると面白く読み易いかどうかは、
重要な項目になっていると思う。






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