2005年12月 第145冊
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松本清張 『張込み』 新潮文庫
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この歳にして、初めての松本清張。
傑作短編集第5集なんですが、なんでこんな中途半端な第5集を選んだかと云うと、
この本に「鬼畜」が選ばれているから。
子供の頃、岩下志麻と緒形拳による本編ドラマを観て、
強烈にショックを受けたんですね。
なんと怖い話なんだ、と思っていたんですが、それが松本清張の作品だと
知ったのは大人になってから。
意外と松本清張の古本は散逸していて、ようやく見つけた次第。
宮部みゆきが清張の大ファンだそうで、清張が新装版や復活版でどんどん
再発売している流れもあって、本書を読んで見ました。
その「鬼畜」の最後のオチは、なぜか忘れてしまっていて、そんな悲惨で
残酷な、でも報いは必ず返ってくるんだな、という結末には感心します。
淡々とした文章で、隙の無い文だけで物語が進んでいくのに、
この不気味さ。
松本清張もじっくりと読んでいきたい一人になってます。