2006年01月 第154冊
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ゴールディング 『蝿の王』 新潮文庫
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少年のころ、「十五少年漂流記」に憬れた。
突然のドラマティックな展開に少年たちは翻弄されつつ、助け合って
成長してゆく。
無人島で力を合わせて、一つ一つ困難に立ち向かう。
滅法、興奮した。
同じく私が小学生のころ、あの「ガンダム」が大ブレイク。
「アムロ、行きまぁす!」
とか言って、走ってた。
あほだ。
なのガンダムがあそこまで受け入れられたのは、
やはり一つの「少年漂流記」だったからだ。
戦争の災厄で少年アムロは、偶然「ガンダム」に乗る破目になるのだが、
冷静に考えるとありえない。
しかも新型空母「ホワイト・ベース」を、戦災孤児たち少年少女が
運転して、戦争に巻き込まれてゆく。
ありえないけど、そういうドラマティックに少年は憬れたのだ。
さて、今回読んだ本「蝿の王」。
これも或る戦争で南の島に不時着した少年たちが、助け合って遭難救助を
待つのだが...。
最初は助け合い、「隊長」を決めたり、ルールを決めたり、
秩序だった行動を取ろうとする。しかし、そうはうまくいかない現実を、
この小説は徹底して描いていく。
隊長に反目・反抗するライバル、ルールをしょっちゅう守らない幼児たち、
彼ら集団はいつしか二分化され、肉や火を取り合って醜い争いは
人殺しまで発展してゆく。
そういえば、「ガンダム」のアムロ・レイも、妙に反抗的な嫌な奴で、
ブライト・ノア船長に喰ってかかってたよな。
少年ってやつは、どうしてああ反抗するんだろうね。
でも、そんなバイタリティが、今は羨ましい。