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2006年04月 第173冊
筑波昭『津山三十人殺し』

筑波昭  『津山三十人殺し』  新潮OH!文庫

こういった犯罪ノンフィクションが、好きです。
なんだかこういった本を読んでると、自分も異常になってゆくようで
(異常かもしれないが)、セーブしながら読んでいます。

前々から本書の存在は知ってたんですけど、一冊丸々使って一つの事件を
書き尽すってのは、ちと読み疲れそうなので敬遠してた。
確かに微にいり細にいり、徹底的に事件を論じている。
あんまり細かいとこらは流し読みして、事件の本筋は存分に読み尽くせばいい。

「津山三十人殺し」事件を知らない方がいるのかな、と思うんですが、
事件の概略を少々。

昭和13年、岡山のある村で起こった現実の話で、横溝正史「八つ墓村」
のモデルにもなっています。
体が弱かったり家庭の事情で思うように進路が開けない青年が、
甘やかされて育った環境と、村の風俗も関与してか次第に性への目覚めが
異常になってゆく。そこへ被害意識と思うにならない現実に
ワガママな性格が手伝って、村人皆殺しを決行する。

嫌いな奴をみんな殺してやりたいと思っても、現実にそれを一晩で
決行した事件は世界広しと言えどもこれだけでしょう。
まぁ歴史的な「合戦」などは嫌いな敵を皆殺ししようってんですから、
あるといえばあるんですが、たった一人が三十人を殺戮するのは異常です。


本書は事件の詳細な内容から始まって、犯人の生い立ちが綿々と語られます。
何度も何度も彼の人生は方向転換できるチャンスがあるんですが、
人生とは不思議なもの、宿命に向かうかのように悪い方へ進みます。
悪い友達がその転機に現れるんですよね。
あいつはメフィストかも知れんな。






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