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2007年09月 第236冊
S・キング  『シャイニング』(上下)  文春文庫 S・キング  『シャイニング』(上下)  文春文庫

S・キング  『シャイニング』(上下)  文春文庫

世間で言われているほど、面白くなかったよ!
映画「シャイニング」の有名なシーン、斧で斬り裂いた隙間からニヤァっ
と笑って横目で見るジャック・ニコルソンの顔が忘れられなくて、
本書を読んだのに。

上下2巻、八百ページを越す長編ですが、下巻中盤まで読むのが実に辛かった。
最後の最後は、ホテルに取り付かれた夫から逃れ続けるハラハラ・シーン
なので流石にサラサラと読めましたが、それまでは文体が純文学風。
かったるいの、なんのって。

癇癪持ちの主人公は、教師を首になった。
アル中状態で授業を繰り返し、顧問をしていた弁論クラブでは生徒と
揉めた挙句、生徒の逆恨みにカっとなり体罰を与えてしまう。
彼は小説家志望でもあり、自宅では捜索活動もしているが、大切な原稿に
3歳の息子がビールをこぼす。
思わずカっとなる彼は最愛の息子の腕を捻り上げるが、これが骨折に。

とにかくこの男、すぐにカっとなる。
全然感情移入できないのが、本書不満の主因。
やっぱり主人公にはある程度、同感できないとね。
どうしてそんなに直ぐカっとなるの?と、全編首を捻り捻り読んでいては、
詰まらないのも当たり前か。

失職した男は家族を連れて冬期閉鎖するホテルの管理人の仕事にありつく。
それなのにネチネチ上司に自尊心を傷つけられたことをを大いにネチネチ
恨み返し、彼に脅迫まがいの電話を掛けて、解雇になりかける。
殺虫剤で処分したスズメバチの巣を息子に自慢してやろうと家に持ち帰る
と、死んでなかったハチに逆襲されたりと、ほんとこの主人公はアホ過ぎる。
そんなバカ話を純文学風に語られたってねぇ。

後半は、古い歴史を持ったホテルの怨霊が勢いを増し、それが
アル中禁断症状の男を取り込む。
妄想に駆られた主人公、斧を振るい回して妻と息子を追い掛け回す。
全然コワクないんですけど。

ちなみに「シャイニング」を、「かがやき」と訳されている。
「ひらめき」と言った方が良く、第六感のことです。
宮部みゆきもよくあるけど、こういう超常現象もの、キライです。






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