2007年11月 第242冊
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鷺沢萌 「失恋」 新潮文庫
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「欲望」「安い涙」「記憶」「遅刻」の4編からなる短篇集212ページ。
全体を統一して「失恋」と題しているが、各編は独立した話。
第1編「欲望」が約百ページと最も長いが、一番面白かったのは
ラストの強烈な仕返しが衝撃的な「記憶」。
あっという間に読んでしまえる面白さで、
返す返すも彼女が亡くなったのが残念だ。
第1・2編はかなり泣かせようといった魂胆が透けており、
少し私には駄目だったが、それでも読めることは読める。
第3編「記憶」を読んでしまった今だから、
第1・2編が色あせて見えるのかもしれない。
「記憶」は中盤まで焦れったく、それほど評価する程でもないんじゃないの、
と思うでしょうが、ラストの仕返しは本当に強烈。
ううぇっ、と思うこと間違いなし。
しかし、女性はスカっとするかもしれません。
第4編「遅刻」は、大したことない。