2008年01月 第250冊
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ペック 「続・豚の死なない日」 白水ブックス
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名作の続編は駄作が多いと思うが、本書はあの名作はこの傑作の為の
前座だったのか、と思わせられる見事な出来映え。
そもそも外国文学は翻訳の稚拙さもあって苦手な私ですが、
これはムシャムシャ読んだ。
この健気で不幸の連続な少年がどうなってしまうのか。
いつでも弱者は試練ばっかりで、神も仏も無いに決まってる。
挙句の果てには、神に愛されすぎたから早く召された、なんていう奴は
大法螺吹きだ。
続編では、父である農夫が亡くなり、14歳の少年が、農場を耕し、
牛や羊の世話をし、隣家の手伝いで小銭を稼ぎ、銀行に借金を細々返済する。
ほんの合い間に学校へ行き、束の間のガールフレンドとの淡い語らいや、
詩を創ったりして貧困を豊かにやり過ごす。
隣人やバイト先の親切な人たちには恵まれるが、老牛は倒れ
乳牛の乳は出なくなり、雨は降らず畑はやせ細る。
農地を担保に銀行から借金をしており、これがいよいよドン詰まりへと
突き進む。
ここまで良い児がいるのか?と思うのが本書の欠点で、
もう少し狡賢かったり僻み根性が垣間見えてもいいところだが、
こういう純朴な少年もいるのかもしれない。
最期には不幸の中にも、僅かな可能性ある道筋で終わっており、
多くの読者はこの少年ならば、きっと成功してゆくだろうと想像する。
でも、そうとばかりは行かないのが人生。
更なる続編があったら、きっと読むんだけどな。
【前作】 ロバート・ニュートン・ペック「豚の死なない日」の感想
http://rndocdks.web.fc2.com/doku003/doku00073.html