2008年01月 第251冊
-
吉田秀和 「音楽 展望と批評2」 朝日文庫
-
1974〜1977年の音楽評論集。
リアルタイムでショスタコが死んだ時の文章が出てきたりして、
時代を感じるが、クラシック界の諸事情は30年前と差して変わってないようだ。
数多くのクラシック音楽評論家が巷には溢れているが、
最も支持され尊敬されているのが吉田秀和ではないだろうか。
そういったナンバー1は嫌いな私も、彼の気品溢れる中にも確固とした
信念と毒針が隠された文章には感服する。
彼の批評文を読んでいると、いつまでも苦にならず、
その芸術性高い世界で遊ぶが如き。
こういった本が、過去の評論だと云う、ある意味致命的な原因で書棚にて
埃を被ってゆくのは残念だ。
読んでいて気付くことは、彼の演奏会鑑賞でピアノ独奏会が多い事。
私はピアノ独奏をあまり嗜(たしな)まないので、この辺はチトつらい。
この当時では、プロコフィエフやマーラーは出てきても、ニールセンや
パリーがちっとも出て来ないし、東ドイツのケーゲルも出て来ないのは
致し方ないことか。
しかしそれでも、彼の鑑賞範囲は広い。
モーツァルトやシューベルトが基本的には好きそうだが、
ゲンダイ音楽だってどんどんトライしているし、大学生オケや地方オケにも
足を伸ばしている。
流石にほとんどはプロオケ、プロ演奏家だが、私はその逆(アマオケ)で
攻めてゆきたいと思う。
カネ、無いし。