2008年03月 第264冊
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石田衣良 「池袋ウエストゲートパーク」 文春文庫
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「池袋ウエストゲートパーク」とは、
東京芸術劇場前の公園のこと。
なんだぁ、あそこなら逆に自分の庭じゃないか、
と思いました。
なんせ東京芸術劇場(通称:芸劇)は過去
五十回くらいは行ってますからね。
読売日本交響楽団のホームベースでもあり、
実によく通ったもんです。
乗換駅だったこともあり、池袋はよく探索しました。
西口は芸劇があることもあって、東口より出入りしました。
北西の商店街は実にヤバイ雰囲気がありますが、歌舞伎町ほどではない。
うまい鰻屋や洋食屋があり、飲食もよく行ったし。
そんな懐かしい街を舞台に、若者の事件を描いたのが本作です。
西口の商店街で家業の八百屋を手伝う主人公は、実にイケてるハードボイル。
仲間から信頼あり、決断力あり、肝っ玉あり。
ストリートを闊歩する若者たちの良き調整役といったところ。
この主人公に持ち込まれる事件を解決してゆく、というのがこの小説のパターン。
「お宿かわせみ」と基本は似ている。
ドラマで随分人気があり、気になっていたのに小バカにして読んでなかった。
流行りモノだろうと思ってたが、読んでみると確かに面白い。
続編も読んだっていいと思っている(まだ買ってないけど)。
文体は一文一文が短く、テンポも良く、ストーリーもまあまあ。
少し古くなった時代(アキバが電脳都市だと騒がれ始めている)ですが、
今頃読んでもそうおかしくもない。
コメンテーターとしても活躍する石田衣良は少し格好つけでムカつくけど、
小説はまあままあいいんじゃないの、と思ってしまった一冊でした。