2008年07月 第280冊
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牟田口義郎 「物語中東の歴史」 中公新書
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このシリーズは面白いね。
「物語アメリカの歴史」のオモローに感化して、中東をチョイス
してみたんだけど、知らないことばっかりで、自分の無知に恥らうやら、
中東のスケールのでかさに驚くやら、本当に世界の歴史は面白い。
日本史中心に勉強してきた人間に、今さら世界史に
ココロ躍るなんて可笑しいね。
この本を読むと、栄枯必衰・諸行無常の世界観を感じずにはいられない。
どんなに栄えた文明や王朝も、社会の矛盾やいびつな現状を
打破しようとして、全く想像もしない英雄が登場する。
もしくは地続きのアジアならではの、異民族が暴虐無人に襲い掛かって来る。
そこには論理や大儀なんてありはしない。
ただ力と欲望だけが圧倒的な存在を見せつける。
残念なのは、近現代史。
複雑混迷の度を深める中東、政治的にも宗教的にも、
誰が正義で英雄か判じがたくなってくる。
誰もが傷を負い、悲しみを抱えていく。
著者はスエズ運河と云う一つのランドマークを選び、
運河を中心とした歴史を語る事で近代史を語り終えてしまう。
中東の近現代史を語るには、数章のページでは到底
語り尽くせないのかもしれない。
今まであまり知らなかった、中東史。
少しづつ読み、知っていきたい。