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2008年07月 第282冊
東野圭吾  「さまよう刃」  角川文庫

東野圭吾  「さまよう刃」  角川文庫

大阪難波の本屋で見かけ、衝動買い&一気読みしました。
中盤までは寝食を忘れてでも読みたい!!という猛烈読書。
それほど中盤までは絶妙に高い関心が続きます。

妻亡き後、男手一人で育てた最愛の娘が花火大会の帰り道、
まったく下らない下郎たちの魔の手にかかり、
尊厳を踏み躙られたあげく殺され、捨てられた。
もう、まったくこんな犯罪は許せない。
時代小説なら、市中引き回しの上、打ち首獄門。
冤罪が絶対に起こらないのなら、江戸時代の刑罰は人情に適っているのではないか。

ふざけた下郎はブラブラした18歳のいい歳こいた野郎ども三人衆。
18歳と云えば、立派に判断力も思考能力もあります。
18歳でどうして「少年」法適用範囲なのだ?
何も複雑で難しい事を遂行したり判断しろ、と求めているのではない。
ただ、悪いことをやっちゃいけない。
それを守る、犯罪を犯してはいけない、そんなレベルなら18歳や17歳
いや、中学生でも遵守できるのでは無いか?

最愛なる娘を殺されたお父さん。
嘆き、悲しむ・・・、そんなもんじゃ済まされませんよ。
この恨み、晴らさぬでおけるべきものか!

古来より人類は果てることなく闘い、殺し合い、奪い合ってきた。
人のモノが羨ましかったり、妬ましかったりしたこともあろう。
しかし、大切にしてきたもの、愛しているものを傷つけられたり
奪われたりすれば、人間は本能的に立ち上がり、立ち向かってきた。

それがいつしか世は文明社会となり、法治国家となった。
法が完璧で、法が実状に適合したものなら、
人々は法の裁きを受け入れるだろう。
しかし昨今の法律はどうだろう。
そんな矛盾を、この小説では大きくクローズ・アップ。
娘を奪われたお父さんは、犯人を探すのです。

本小説では、後半の展開が不満。
それまでがイケイケな展開だっただけに、後半では現実との摺り合わせを
意図しすぎている。
ここまでドラマティックな展開も無いだろうし、彷徨える魂のお父さんに
現れる女性も現実には登場しないだろう。
実際は殺伐とした逃避行と、あてどない探索に疲れ切って・・・、
被害者家族がどうしてこんな悲しい人生を送らなきゃならいの?

小説に描かれる少年犯罪は決して仮想な世界で無いだけに、
是非年頃の娘さんをお持ちの多くのお父さんお母さんに読んでもらって、
考えてもらいたいものです。






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