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2008年11月 第301冊
文藝春秋編  「日本の歴史」(上下)  文春文庫

文藝春秋編  「日本の歴史」(上下)  文春文庫

正式書名「エッセイで楽しむ日本の歴史」上下二巻、全1,240ページ。

実はこの本、気が向いた時に少しづつ読んでいた。だから読破するのに
5年位かかっている。今住んでいる家の、前の前の家にいた頃に
読み始めたから、よくまあ失くさずに読み続けたもんだ。

どうしてそんなふざけた読み方ができるかって言うと、超短篇集だから。

各界著名な歴史関係者総勢199名。
古代史から幕末まで収め、それぞれが最も特異とするジャンルや人物を物語ってゆく。
面白いのは、その考察眼。着眼に対極を感じるのが、学者と小説家。

とにかく学者は文章も着眼点も、面白く無い。
ほとんどが有名大学の教授や助教授なのだが、学会で発表している論文と
勘違いしているような文体・構成。しかも論じている内容が、重箱の隅を
ほじくり返したような狭小ネタ。よくまぁそんなどうでもいいような事を、
人生の仕事に出来るね。そんな仕事を「研究」といい、金まで貰えるんですか?
と呆れてしまう。


逆に小説家はさすが生活が懸かっている。
論点にも興味が沸くし、その考察してゆくプロットも面白い。
想像や仮想に多少の無理はあるが、夢やロマンがあって、
結果的には面白い読み物になっている。
文藝春秋もそのへんは熟知しているようで、小説家と大学センセイを
交互に配置し、面白さとアカデミズムを巧妙に混ぜ合わせている。

有名作家が数多く参加してます。
カッコ内は、どんな事についてかいてあるかを示しています。

豊田有恒(長屋王)、杉本苑子(女帝)、夢枕獏(空海)、
山村美紗(小野小町)、陳舜臣(遣唐使)、丹羽基二(名字)、
井沢元彦(崇徳上皇)、石ノ森章太郎(木曽義仲)、
北方謙三(楠木正成)、野坂昭如(バサラ大名)、白石一郎(大倭寇)、

阿刀田高(天正少年使節団)、堺屋太一(石田三成)、
遠藤周作(小西行長)、綱淵謙錠(お家騒動)、津本陽(宮本武蔵)、
ジェームス三木(伊達政宗)、森村誠一(忠臣蔵)、平岩弓枝(旅籠)、

田辺聖子(一茶)、杉本章子(生麦事件)、南條範夫(桂小五郎)

極めつけは、最終章が南條範夫の一文、「小五郎さん、可哀そうに」
という短篇で締めくくられている事。
南條ファンの私としては、胸がスカッっとする終わり方。






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