2009年05月 第319冊
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宮部みゆき 「スナーク狩り」 光文社文庫
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久々に宮部を読んだが、これは面白かった。
ラストは目が離せなくなり、晩ご飯を食べながら読了。
宮部作品の多くは受賞したり大ベストセラーになったりして、
題名だけなら多くの人が知っている作品が多い。
しかしこの作品はどうだろう?宮部作品に関心が薄い人はもちろん、
漠然と読書を楽しんでいる多くの人が知らないのではないだろうか。
そしてそれはナゼか?
有名だとやっぱり秀作で、無名だとイマイチ。
そう思ってしまうのが普通だけど、逆にどうしてこの作品が
無名なのか分からない。
無名無名と言ったって、相当に売れてるし、評価もされてるんですよ。
しかし宮部作品の中では、下の方に位置づけられてしまっていると
言っても過言でない。同年書籍化された「火車」との扱いは大違い。
この状況は、ヒジョーに、残念。
すごく面白いです。
毎度わたしのメルマガやホムペを読んで下さってる方の中で、
たまには言われた通りに読んでみっか、と思うなら、是非、
この作品を読んでみて下さい。
きっと、一気読みしますよ。
構成は恩田陸「パズル」と似たグランド・ホテル形式。
前半は様々な人たちの細かいシーンが次々と描かれていって、
ちょっと「あれ?」。
しかし自分を捨てた憎い男の結婚式へ向かう女の続きを知りたい一心で、
どんどん読んでゆきます。どうでもいい?ような話も読みつつ、
どんどん散弾銃を持った女の結末を知りたがります。
しかし、それは序の口なんですね。
合い間、合い間に出てきたエピソードがどんどん繋がり出す中盤。
一揆怒涛の後半部。
ラストをどう結着させるか最期まで気が抜けず、
久々に心底ハマった読書です。満点。