2009年05月 第321冊
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新井素子 「素子の読書あらかると」 中公文庫
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平成7年に書かれ、平成16年に文庫化された読書エッセイ。
新井素子も来年で五十歳。
ぶっちゃけ調の文体に驚いてから、もう何十年も経った。
彼女はこのエッセイでも彼女独特の文体を保持、素子節で語っています。
語り口は等身大なんですが、語っている内容は博学。
莫大な読書の裏付けをもとに、彼女の読後感が語られています。
良家の子女ながら若くして作家として成功を治め、
やさしい旦那にも恵まれている素子さん。
誰に媚びる必要も無く、自分の思うがままの感想に終始しています。
もちろん良家の子女ですから、他人の悪口はありません。
気に入った当時の新刊中心に語られています。
この読書エッセイを読んで、直ぐ読んだのがアシモフの
「ファウンデーション」。
言わずと知れたSFの大名作ですが、ファウンデーション・シリーズは
買い置きされてハヤ数年。でも彼女のファウンデーション賛美に、
意を決して読みました。こういった読書エッセイの面白いところは、
この本を元に更に多くの本に興味が広がること。
他にも北川歩実や西澤保彦が絶賛されていて、目のつけどころは問題なし。
彼女の文体さへ受け入れられる人は、審美眼と博学に裏打ちされた
読書感想なので、参考になる一冊だと思います。
本書でも書かれていますが、SF作家だからこそ、
国内SFについては余り書かれていません。
ミステリ中心に、採り上げられています。