2010年04月 第370冊
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小林信彦 「本は寝ころんで」 文春文庫
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二部構成で、第1部
「他人に教えたくない面白本=ベスト50」書下ろし。
第2部は読書日記と称し、
週刊文春1991年8月29日号〜1994年1月27日号掲載分。
第1部のベスト50は書き下ろしだけあって腕を組んで
挑んだ感あるが、第2部の週刊文春連載は調子の上下が激しい。
ベスト50は五種に分けており、ベストテン×5種=ベスト50。
海外ミステリ・ベストテン(古典)
海外ミステリ・ベストテン(現代)
海外エンタテインメント・ベストテン
海外ユーモア小説・ベストテン
日本の都市小説(東京)
海外モノをほとんど読まない私は珍糞漢糞なのだが、
著者もハイスミスを愛読している点が嬉しかった。
ただし今から二十年近く前に書かれた選評なので、
当然最新刊は無く、こういった時代とともに
古くなってゆくものは悲しい。
ただし、これがあと数十年すれば二十世紀末の時代考証には
役立ちそうで、当時の人はこういった見方だったのかと
面白くなるのだろう。
後半の週刊誌連載の読書日記はグダグダ。
キラリと光ってブッタ斬る回もあれば、身辺雑記で
うんざりすることもあり、週刊誌の壱コーナーだから
読めるんであって、わざわざ文庫本化するものではないだろう。
悲しいことに小林信彦という小説家も少しづつ現世から
薄れてゆきそうな気配だし、彼の雑文から透けて見える
人ととなりがそれを予感させる。