2010年05月 第376冊
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河合敦 「世界史は日本史をどう記してきたか」 青春新書
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日本史と世界史というように、日本とその他を明確に分離して歴史を教えている国は
日本だけだそうで、考えてみればほとんどの多くの国が隣国と地続きであり、
隣国やエリア一帯の歴史抜きでは自国の歴史も教えにくいのかもしれません。
日本だって韓国や中国と密接な交流や影響を交し合ってきており、
日本史というより、東アジア史といった視野で歴史を学ぶ方が自然。
それを直接交流した時、白村江、遣隋使、遣唐使、元寇、倭寇、
キリスト教と鉄砲伝来、朝鮮出兵、鎖国、黒船来航あたりで、突然
沸いたかのように外国を登場させていますが、実際はずっと頻繁に
大小の交流があった筈。
本書ではそんな歪な日本史を検証すべく、諸外国との重要な起因を
押さえた日本史を再検証しています。
なるほど、だからか、と思うことの連発で、こういった教わり方を
高校日本史でやってもらっていたら、社会人になっても国際情勢の
基礎知識として役立っていたでしょう。
逆に言えば、日本以外は、諸外国との関連を踏まえて勉強して大人に
なっているのが当たり前、日本人だけ歴史の関連に気付く事もなく
行動や発言しているのかもしれない。
本書は紀元前から昭和まで時代に偏ることもなく、一冊にうまく纏められています。
高校生あたりが読めば歴史がいかに面白いか早々に気付くでしょうし、
大学生や社会人だって国際感覚を身につけるのに適しています。
国際感覚は英語を学ぶより、日本と諸外国との関連性や歴史を学んだ方が良い、
と私は思います。だって、欧米の人はいちいち日本語や中国語を学ばないと
国際感覚が身につかない、なんて思ってないでしょうから。