2010年06月 第382冊
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鈴木眞哉 「〈負け組〉の戦国史」 平凡社新書
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著者の歴史観や通説に対する強烈な敵愾心をどう受け止めるかで
本書の感想は大きく異なる。
いろんな考え、拗ねた見方、通説打破とういったものを面白いと思うか、
目立ちたがり屋と思うか。
私自身かなりのひねくれ者と自負しているんですが、著者は筋金入り。
発想や着眼は微笑ましく、私は肯定的に読めました。
各所で???と思うこともあるんですが、いろんな見方を
識りたい私にとっては面白い。
流行も終息しはじめた「勝ち組」発想を転換し、「負け組」から
戦国大名の興亡をみる、面白いじゃないですか。
戦国期や江戸初期の大名の興亡記って、当事者にとっては物凄い人生の
大転換だったわけだが、後世の我々から見れば一つのドラマなのだ。
あんなに頑張ったのに、あんなに胡麻摺ったのに、関ヶ原で西軍に付いたばっかりに
改易されたとか、秀吉の次は秀次だとくっついていたら秀頼が産まれたばっかりに
一蓮托生になったり。
大友宗麟だとか大内義隆のように頑張ってればいくらでも
大大名で残れていた人もいるが、ほとんどの戦国大名は地理的や
姻戚や大将に仰ぎ見た人物によって結果が散々です。