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2010年07月 第390冊
有吉佐和子 「紀ノ川」 新潮文庫

有吉佐和子  「紀ノ川」  新潮文庫

和歌山県北部を流れる紀ノ川。
その流域に住む大地主四代の女系による大河ドラマ。

こういったものって、粗筋だけ読むと「面白いの?」と思っていたのだが、
どうしてどうして、流石に題名だけは聞き知っていただけの事はあった。

ラストでは祖母となる若き頃の娘とその祖母から話はスタート、
時代は明治初期。

娘は川下の、格下ながら新興著しい地主に嫁いでゆく。
明治時代の大地主たちの生態が余すことなく描かれていて、
戦前の大地主がどのような生活をしていたか、どのように
生きていたのか、その一端が良く分かる。

女流作家だからでしょう、敢えて女系四代を描いてゆくのだが、
ストーリーがテンポよくて、決して読みやすい現代小説でもないのに
ドンドン読める。読みたくなる。

しかも読んだ手応えが大きく、読後感もいい。
著者には「有田川」「日高川」もあるそうで、どこかで見つけたら
是非読んでみたい。






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