2010年08月 第397冊
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湊かなえ 「告白」 双葉文庫
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多くのレビューで語られてるように、確かに、
このミステリは面白い。
全6章あるうちの第1章「聖職者」。
女教師によるホームルームでの生徒達を前にしての
犯人告発。そして犯人への驚くような制裁の告白。
冒頭で牛乳を全員が飲むシーンが効いています。
この第1章だけで、十二分に本書は完成されている。
しかしこれほど面白い第1章を提示されて、あと5章も
残っているのなら、読まずにいられないでしょう。
事件の詳細が様々な重要人物たちによって、
一人一章づつ語られてゆく構成は抜群で、
一章ごとに新鮮さは失われてゆきますが、
一人ひとりの生皮を剥がされてゆく様な真相告白は、
悪趣味なだけに面白い。
この本を読んでない人は、生徒達が女教師の子供(生徒)を
イジメ殺し、その復習劇かと思ってなさるんじゃないですか?
でも、違うんですよ。
殺人を犯す二人組のうちの、気の弱い少年の母親の
壊れてゆく描写がうまい。理想的な母親、自分が
思い描いていた通りの家庭だったはずが、
息子の愚行をきっかけにどんどん崩壊してゆく。
ここら辺の家庭劇も読みどころです。
たしかに面白い。
一日で読み終わらざるを得ません。