2010年08月 第399冊
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東野圭吾 「白夜行」 集英社文庫
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ミステリなら大長編でもサクサク読めるナと思い、手にしたのが本書。
東野ミステリの金字塔、文庫版にして854ページ。
お風呂で読むのが好きなんですが、文庫本が重すぎて手がくたびれた。
そんなことはどうでもいい、本書は評判どおり面白かった!
世間で大絶賛を受けたほどは、のめり込めなかったけど。
全13章からなる短篇を、連作短編集として再構成したそうですが、
たしかに一章一章で独立して読んでも味がある。
各章主人公や狂言回しが変わっており、章の読み始めは
舞台設定を把握するまで戸惑います。
しかしちょっと読み進めばもう虜。
とにかくその章を読み終わるまでは気が気でない。
その分、次の章を読み始めるには事前の時間確保が必要。
それだけ本書は面白かった。
さんざん各所で感想が述べられてますから、今更私が読んだのは
遅すぎですね、ドラマもブレイクしたし。
しかし私みたいにまだ読んでない人もいるでしょう、
なんてったって文庫本がブ厚過ぎます。
私としては、東直己ほどのめり込まなかったが、
それでも十二分に曳き付けられたミステリだった。
後味の悪い終盤も読み応えがあるし、悲しい終わり方なんだろな
と想像できたけど、そこへ辿り着こうとする最終章は秀逸です。
一つだけ弱いなと思った点。
悪の主人公たちは、自分達をおびやかす者達を次々と不幸にしてゆく。
中盤では探偵との闘いがハラハラなんですが、探偵には反撃するのに、
老刑事には手を出さない。
これは弱いでしょう。
親類ともなった課長との繋がりがあるから容易に手は出せないのは
分かるけど、何らかの警告を出すとか、家族などの弱味を作るとか、
どうして老刑事だけは手放しだったのか。
そこらへんの攻防も乗り越えて、最期のクライマックスに繋がれば
より完璧だったろうに。
そうは言っても中途半端なミステリを2・3冊読むくらいなら、
本書は早目に挑戦しておいて損は無し。
よおし、お次は黒川博行の「国境」(八百ページ級)に、
早いとこチャレンジだ!