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2010年09月 第401冊
山田真哉  「禁じられた数字」(上下)  光文社新書 山田真哉  「禁じられた数字」(上下)  光文社新書

山田真哉  「禁じられた数字」(上下)  光文社新書

  上巻「食い逃げされてもバイトは雇うな」
  下巻「『食い逃げされてもバイトは雇うな』なんて大間違い」


「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」がミリオンセラーになった、
会計士山田真哉の2007・2008年の作品。
前作のように人目を引く大仰な題名が微笑ましい。
最近の新書はこういった「!??」と思わせぶりな書名が多い。

昔より読みやすく、しかも結構面白い。
ライト化したとも言えるし、詰まらない大学教授の小難しい論文崩れより
余程役に立つ。

ウケのいい若年著者が多量生産されているとも言え、昔ならとても
作品化されなかったような、もしくは新書としては発行されなかった
ような本まで多数登場している。

本はあまりにも出版されすぎてるし、数打たないとヒットは
出にくいのかもしれない。
また、小難しい本格派は明らかに敬遠されている。

著者自身も書いているように、本書の読書時間は各巻1時間弱。
下巻は1時間半は掛かったが、サラサラサラ〜と読めてしまう。
その時そのときは、ふ〜ん、と読んでいくが、これといったものも残らない。

上巻はそれが特に顕著で、下巻でそれを混ぜっかえしたり、別の角度から
考察したりするのには感心した。上巻を読み終わったとき、こりゃどうもね、
と思ったが、下巻まで読むとそこそこ勉強になった。
だから読むなら上下巻とも読むことをお薦めする。

会計や会計学について、身近な題材や事象から結構面白く論じてゆく。
数字が持つトリック性や思い込み、思わせ方など、実例を用いて楽しく
読ませる。

ただし、読んでしまえば「なるほどね。それくらいなら私だって気付くよ」
と思うこともしばしば。しかしそういった気付いていそうなことを、
こうやって本に書いて講釈してるのは彼が最初なんだし、気付いてない人は
世の中に多いんだろうから、こういった些少なことでもカネにしてしまう
筆力は大したもの。

著者は現代会計の「計画信仰」を嫌っており、計画性を死守せんがため
ビジネスが硬直していく過程を分かりやすく描いている。

途中、小説風にその風景が描かれるのだが、さすが
「女子大生会計士の事件簿」で小説もヒットさせただけあって文章が上手い。
著者はもともと阪大文学部史学科を卒業したガチガチの文系で、
文学の素養を持った会計士だからこそ、こういった面白く読ませる会計本が
書けるのだろう。

上下2冊なのに、2時間半で読めます。
会計をほとんど知らない人ほど、本書はフムフムと読めると思います。






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