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2010年09月 第404冊
岩根圀和  「物語スペインの歴史」  中公新書

岩根圀和  「物語スペインの歴史」  中公新書

中公新書の「物語 ○○の歴史」も、これで6冊目。
アメリカ、中東、ドイツ、アイルランド、韓国ときて、今回の「スペイン」。
正直、わたし、スペインには全く興味が無かったんです。

クラシックが好きなんですが、スペインの作曲家、アランフェス協奏曲の
ロドリーゴもさして聴かないし、グラナドスやスカルラッティや
トゥリーナやファリャも言うほど聴いてない。

歌手、プラシド・ドミンゴやホセ・カレーラスの方が
日本では有名ですが、歌手もさして興味ない。

ガウディの建築も見に行こうとまでは思わないし、
スペイン料理を食うならイタリア料理の方がいい。
じゃぁ、なぜ、この本を読んだのか?
買った順番が回ってきただけでした。

それほど関心低く読み始めたんですが、『コレは!面白い!!』
過去6冊のシリーズの中で、アメリカ史よりも面白かった。
著者に文才がある。
漫画「ワンピース」なんか好きなヒトには、きっとのめり込む本ですよ。

そう、中世のスペインといえば大航海時代。
大航海時代と言えば、海賊です。
海賊とか海戦といった海の戦い話が実に興奮するんですね。
「ドン・キホーテ」を書いたセルバンテスを研究している著者だけあって、
セルバンテスの波乱の半生がコッテリ描かれる。

スペインという国は、イスラムに長い間征服されます。
その後、レコンキスタ(再征服運動、国土回復運動)、
国を取り戻すんですが、征服したり征服されたりすることは、
多くの悲劇を生むだけです。

レコンキスタ後の悲惨な民族間の争いは、
本当に読んでいて悲しくなりました。

本書はスペイン全史を網羅的に描いていません。
これは、という時代に的を絞って「物語」重視で書いています。
成功してます。

第1章「スペイン・イスラムの誕生」
第2章「国土回復運動」
第3章「レパント海戦」
第4章「捕虜となったセルバンテス」
第5章「スペイン無敵艦隊」
終章「現代のスペイン」


第4章「捕虜となったセルバンテス」は「スペインの歴史」
という観点からすると偏りすぎてます。

しかし、著者の大好きなセルバンテスの捕虜生活をドラマティックに
描くことで、当時の捕虜生活や人質交換交渉などが実に良く分かります。
本書を読んでスペインの全体は分からなかったけど、スペインそのものに
非常に興味を持ちました。

著者による「物語スペインの歴史 人物篇」も早速
入手しようと思ってます。






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