2010年09月 第410冊
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佐木隆三 「殺人百科」3 文春文庫
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終戦直後から七十年代までの代表的な殺人事件6編が収められている。
有名な小平事件の全容が描かれているほか、私は知らなかった歯医者による
誘拐事件などが取り上げられている。
この歯医者誘拐事件は、私の懐かしい場所が次々と出ていて、
実際この近辺の別の歯医者に通っていたこともあり、非常に驚いた。
もっと、通院していた時と時代は数十年も違うけど。
佐木隆三。
この人の本を、一冊でも読んだか読んでないかで、
本書への関心は全く異なるだろう。
佐木を読んでる人なら「はは〜ん、彼の事件モノなら確かに面白そうだな。
今度古本屋で見つけたら買ってやろう」となるのだが、読んだこともない人は
「むかしの殺人事件ルポなんて、読みづらそうだしピンと来ないな」
となるだろう。
たしかに昔々の殺人事件だし、時代背景や現代人ならどうしてそんな原因で
殺人したり、殺害されるような場所に行ったりしちゃうのと思うんだけれど、
時代は変わっても人は人。
人間の持つ普遍性といいますか、昔と言っても昭和の人、
そんな昔の話でもない。
酒乱が嵩じて殺人を犯してしまう悲劇も出てくる。
お酒を呑んでおいしいなぁ、ムニャムニャ・・・
というパターンだったらいいが、酒を呑んだら大いに語りだす人が多い。
適度に上機嫌で、楽しく呑んで寝てしまえるならいいが、
日頃不平不満が溜っている人が論じだしたら厄介だ。
本書の酒乱殺人事件はそんな最悪な悲劇が描かれている。
ちなみに私は、呑み過ぎると胸焼けとか二日酔いになりやすいんで、
中ビン1本で一杯一杯になってしまう。
呑むのは好きなんだがなぁ。