2010年10月 第414冊
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小畑友紀 「僕等がいた 」 小学館フラワーコミックス
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2010年8月、待望の第14巻が出た。
帯には「910万部突破!!日本全国が見守る矢野と七実の恋」。
ストーリーが凄い漫画といったら?
と問われて迷わずお薦めしたいのが本書。
未読の方に気遣って書くとすれば、途中思いもよらないことが起こる!
と言う事。
時間がグッと素っ飛ぶ手法にも驚いたし、
社会人に時を移した事によって作品の深みが百倍増した。
そもそも第1巻では絵柄が好きになれなかった。
フワフワとしたタッチ、画力は相当高い。
シリアスなシーンや下手ウマな合いの間、
ヒーロー矢野の屈託のない笑顔。
この矢野の笑顔にキュンと来るか来ないかが、
読み始めは大きいかもしれない。
しかし、キュンと来ない人も、数巻は我慢して読み続けましょう。
いずれこの二人には、途方もない未来が待ってるんですから。
あの衝撃の展開を味あわずして、本書の醍醐味は堪能できない。
少女漫画王道の、数々の試練や運命に翻弄されるけど、
最期は幸せが待っている・・・。
本書だけは、そこを外してくれるんじゃないかと
ジリジリ思いながら読んでます。
引っ張ってる、病んでいる、なんて思う読者も多いでしょうが、
現代若者の有り得る困難を全投入したとしたら、
こういったストーリーもアリだと思う。
また、主人公二人がそれぞれの抱える人間関係に阻まれて、
どうにも身動きできないラストこそ期待してしまう。
江戸時代だったら心中だろうし、現代だったら駆け落ちでしょうか。
ご都合主義を活用した、安易な終盤だけは避けて欲しい。
ここまで良く出来た大ラブストーリーなんだから、
是非是非、練りに練った結末に突き進んで欲しい。
高校時代の二人が輝きに輝いていただけに、
大人になった二人の悲惨さが
素晴らしい対照となって作品が大きくなっている。
それだけに、私個人の希望としては、
大悲劇的結末(誰も死ぬことなく、でも、暗く空ろな未来しか残っていない)
こそ語り継がれる名作になると思うんだが。どうでしょう?