2011年2月 第436冊
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宮部みゆき 「東京下町殺人暮色」 光文社文庫
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この本も数年前に読んだのに感想書かず、
書こうと思ったら内容丸忘れ。
今回再読したが、中盤まで全然思い出せなかった。
主人公の中学生が、両親が離婚して父親に引き取られている。
母親は医者と再婚していて、父は平刑事なのに家政婦を
雇うという不思議な設定。
思春期の男子が、両親離婚・母再婚・家政婦が家に居る、
という設定なら屈折した少年になってこそリアリティが
出て面白い流れになるのに、この主人公はどこまでも
少年探偵団みたいでイイ子ちゃん。
お母さんを懐かしがることもなく、父を恨むでもなく、
近所で起こった事件に首っ引き。
刑事の子だからね、と宮部女史は言いそうだが、
少年の中では近所の事件より自分の悲劇の方が
余程大きいんじゃないかと思うんですけど。
結論として、設定や主人公自体に共感できない。
しかもミステリもあまり感心できない。
著者31歳の時の若書きと聞いて、ようやく感心できた次第。
31歳の女性が描いた中学生の少年、まったく描けていない。