2011年3月 第441冊
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T・ハリス 「ハンニバル」上下 新潮文庫
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十年ほど前、映画はリアルタイムで観た。
ラストのディナー・シーンが衝撃的過ぎて、
正直あの「お食事」シーンしか覚えていない。
しかし「ハンニバル」といえば、あの「お食事」と言う様に、
全く忘れられない強烈な後味の悪さを残している。
この小説は、5年ほど前に買ったもの。
ようやく読む順番になったので読んだのですが、
久々に寝食を忘れて読み耽りました。
読後、姉妹作「羊たちの沈黙」「レッド・ドラゴン」
「ハンニバル・ライジング」と四部作と云われる全作を買い揃えたほど。
面白いというのは不謹慎だけど、ベストセラーになったのは
良く分かります。
有名な「羊たちの沈黙」では、地下牢に拘束された
ハンニバル・レクターの、その後の悪事を描きます。
なぜこうなったかは、「レッド・ドラゴン」「ハンニバル・ライジング」
を読まないと見えてこないですが、本作でも彼の過去(幼少期)が
所々登場します。
恐怖の幼児体験が彼の異常基調となっているのですが、
こうまで怪物になってしまうものなのか。
終盤は手に汗握る展開の連続で、勧善懲悪で終わらない、
妖しく不思議な、霧に消えてゆくような終わり方。
鳥肌が立ちます。