2011年5月 第445冊
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畔蒜泰助 「『今のロシア』がわかる本」 三笠書房知的生きかた文庫
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2008年4月、初版書き下ろしの作品。
今から3年前の本でして、こういった時事ネタは
新鮮さが大事と痛切に感じました。
プーチン大統領からメドヴェージェフ大統領に変わった頃に書かれており、
あれから3年、時間はすっかり経ってしまい、3年前がどうだったか十分
よく解かったんですが、3年後の今頃読んではキツイ昔話になっています。
こういった国家を語る情報本は、切り口が様々あります。
政治経済文化芸術と多種多様な面から考察してくれると嬉しいんですが、
本書は政治面からがほとんどです。
わたしは経済面がどうなるか知りたくて手に取ったんですが、政治面一色。
ロシアは政治が全てを優先する事もよく解かったんですが、
経済的考察が弱いのが残念だった。
副題に「日本人が知っておきたいロシア経済とその世界戦略」とあるので、
これはむむむでした。著者なりに経済面も語られてはいますが、経済面を
最大限期待して読むとガッカリです。
具体的には「地政戦略」から考察しています。
西は東欧、南西は中東、インドや中国があって、東は日本とアメリカです。
考えてみればロシアの周囲は厄介な国ばかりで、
これだけの国々に囲まれていれば、外交が高度化するのも頷けます。
それに比べて日本と来たら・・・、日本もようやくアメリカの
傘下だけでなく、露中韓とどう交渉して行くか、もしくは
交渉失敗が曝け出してきています。
随分力を入れて書かれた本だけに、発行されたばかりの頃に読めば、
相当役立ったと思います。
著者の最新刊が出れば、今度こそリアルタイムに読んでみたいと思った。