2011年8月 第456冊
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宮本輝 「流転の海」 新潮文庫
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宮本輝の自伝的大河小説。
現在第5部まで刊行されていて、どこまで書き継がれるのか
期待されている状態。
現在私は長編「つづきもの」を2つ(鬼平、かわせみ)読んでいるので、
これ以上続き物に手を出したくなかったが、知らずに読んでしまった。
非常に名作の誉れ高い作品で、私も何かの読書推薦に
興味を持って買ったんだと思う。
全403ページ。
ストーリー展開が見事で、次から次へと先が気になる事件が起こり
話は進んでゆく。前半はアっという間に読みましたが、中盤からは
興味が薄れてきた。
これは主人公熊吾の性格や行動によるものだろう。
明治生まれの豪傑タイプで、学は無いけど行動力と野生のカンがあり、
人情もろいが身勝手で周りを振り回している。
妻子を愛しているが浮気をし、妻に気に食わない事があると暴行が酷い。
明治の一代男にはこの手のタイプが多かったんだろうけど、
ちょっと不愉快になる。それでも彼に関心を持ち続け、行く先々で
嵐が起きるのを楽しめるかどうかが鍵。
先見の明に長けているのに、不幸の影が次から次へと立ちはだかる。
それに立ち向かってゆく姿を勇ましいと思うべきなんだろうが、
「どうせこの後も不幸がくるんだろうなぁ」と思ってしまうと、
ハラハラよりイライラしてしまう。
純文学というジャンルで考えれば滅法面白いストーリーだが、
散々面白いエンタメ小説が溢れている現代では、このあと
第二部第三部と読み進めるべきか。
それでも第二部は買ってしまった・・・。