2011年9月 第466冊
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樽見博 「三度のメシより古本」 平凡社新書
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私もそうです、「三度のメシより古本」。
うまい題名ネーミングですよね、古本好きは手に取って見てしまう。
ひとそれぞれ趣味の方向性は細分化されていて、私は「文庫本と新書の古本」
「南條範夫、海音寺潮五郎、三野正洋、檜山良昭を片っ端から蒐集」が基本。
決してケチなだけで古本の文庫新書を買っているのでなく、
二〜三十年前の古本の方が、時に面白い本があるのです。
最近見つけた本では、高木彬光「連合艦隊ついに勝つ」なんて
光文社文庫も角川文庫も廃版のようですが、これほどしっかり
書かれかつ面白い本がなぜ廃版になっているのかっ。
新刊書店だけ巡っていては、こういった埋もれていった本には
出会わないでしょう。
本が好きで好きでたまらない、という気持ちが
十分伝わってきて読んでいて楽しかった。
本書は「古本」というより「古書」について書かれた数々。
浮世絵評価の変遷、明治文献、戦後復興期の古本業界、
明治百年と初版本ブーム、蜀山人太田南畝、考証家真山青果・・・。
ね、古本というより古書でしょう。
私としては、戦後の作品が古本、というイメージがある。
浮世絵とか明治期とかは、骨董品・古書でしょう。
「三度のメシより古書」とすると一気に高そうな話になってしまい、
庶民性や親近感がなくなると思ったのだろう。
逆に5百円とか7百円くらいで買える朝日ソノラマや旺文社文庫の中で、
これはあまり知られていない面白トンデモ本がある!といった話に興味がある。
最近では久米康之「猫の尻尾も借りてきて」(ソノラマ文庫)とか
大森望編「ここがウィネトカなら、きみはジュディ」(ハヤカワ文庫)を
探しているんだけど、なかなか見つからないのよね。
でも、この古本を探している時期が楽しいんだよね♪