2011年9月 第470冊
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平岩弓枝 「御宿かわせみ」12 文春文庫
書名は「夜鴉おきん」(御宿かわせみ12)。
第8巻あたりから面白くなっていたのに、前巻11巻がハズレ。
浮き沈みがあるねと前回11巻では書いたが、この第12巻は俄然面白かった。
8小編からなるのですが、そのほとんどが面白い。
しかもミステリとしてもなかかなで、今までみたいに
「犯人は判っているが、動機と証拠固め」なんてワンパターンでない。
ホロリとさせられる人情味が増し、それでいて謎解きも後半まで不透明、
落ちも不自然さがない。これは良くなってきた。
そもそも大長期連載されるというのは、それだけ理由があるもの。
文春では女流の捕り物長編が欲しかったんだろうし、
初期の凡庸を我慢してここまで育てた出版社の努力は大きい。
もちろんそれに答えて成長した著者自体も大きいが。
こうなったら、次の第13巻はもう少し早目に手に取ってみよう。