2011年9月 第471冊
-
三浦展 「下流同盟」 朝日新書
三浦展「下流社会」が面白かったので買ってあった本。
でも2006年に出された新書であり、地方や都市郊外の
ファスト風土化がテーマなので、少し古い話となってしまった。
そうは言っても、今(2011年)読んでも覚えのある現象が多い。
私は最近まである地方に住んでいたのだが、まさに車社会で、
大型ショッピングセンターや大型書店やらを全て車で移動する行動をしていた。
大阪から名古屋までを幅広く、各都市をドライヴするのが好きで。
と言うのが、各都市ごとにブックオフがあるもんだから虱潰しに行脚してたのだが。
そうすると各都市の郊外には決まりきった看板ばかりが出てくる。
大型紳士服店、大型複合スーパー、大型書店、三大牛丼チェーンや
ハンバーガーショップ。
その地方ならではのスーパーや飲食店もあるにはあるが、
中に入ってみると似たような間取りと品揃え。
その都市ならではの食品コーナー、山梨ほうとう、愛知きしめん、京都湯葉、
三重の伊勢うどん、といった風な違いはあったが、全体としては都市ごとに
全く違っていることは無かった。
お城とか寺院といった決定的な観光地の周りは土産店や地元老舗店が
軒を連ねるが、地方の日々の暮らしを支えているのは地元商店街ではなく、
幹線道路沿いの大型スーパーやチェーン店だと実感した。
哀しいけれど、確かにそうだと思った。
私は生まれも育ちも都会なので、逆に地方にしかない地元スーパーを
好んで行ったんだが、混んでいるのは大型スーパーや全国チェーン店だった。
これは大企業グループによるファスト化というもので、全国金太郎飴のように
効率化採算性の名の下、どこへいっても同じ恩恵は受けられるが面白味も無い。
地方ならではの老舗スーパーに行けばよかったのが、大規模グループによる
大量仕入れ&大量販売による低価格化により、地方老舗スーパーは
撤退縮小廃業が進んでいる。
著書では日本の某巨大グループも挙げているが、基本的には先を行く
アメリカのウォルマートの歴史と現状・諸問題を中心に検証している。
本書が面白いのは、著者三浦氏は編集者でもあり、各章を諸専門家に
章を分け与えいること。
1.下流社会とファスト風土(三浦展)
2.コレがアメリカのファスト風土だ!(三浦展)
3.ファスト風土化した下流化する地方(服部圭郎)
4.嫌われるウォルマート(服部圭郎)
5.日本のワーキング・プア(宮本冬子)
6.アメリカの下流社会(藤田晃之)
7.古いヨーロッパ・フランスは抵抗する(鳥海基樹)
ファスト風土化とは、大型店やチェーン店などが郊外に進出することで、
その地域の個性が失われてしまう現象。(ウィキペディア参照)
著書では、下流社会とファスト風土化について、
わかりやすく書いてある箇所を抜粋しよう。
「グローバリゼーションが与える影響を経済、雇用、価値観などの側面から
切り取った概念が下流社会であり、地域社会の変化という側面から
切り取ったのがファスト風土化と言える。」