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2011年10月 第478冊
太宰治  「人間失格」  集英社文庫

太宰治  「人間失格」  集英社文庫

小学生時代から読書が大好きだった。
小中の頃は吉川英治や星新一、高校では児童文学や司馬遼太郎を
好んで読んだんですが、反逆精神一杯な私は「○○文庫の100冊」
みたいな名作を敢えて避けていた。

よって、この歳まで太宰治や三島由紀夫は読んだことがない。
夏目漱石や森鴎外は教科書で読み、「なかなか面白いじゃん」
と文庫で数冊読んでいる。

太宰と言えば、教科書で「走れメロス」を読んだが、
「昔話みたい」と思っただけで、現代作家という感覚がなかった。
そう、太宰の文体や格は、実にやさしく間口が広いのだ。

「何々とは○○的××とも言えるのではなかろうか」
といった虚仮脅し文章はない。

中学生でも読みやすい、中味勝負の文章だ。
それゆえに、今も中学生向き推薦図書になるんだろうが、
ハッキリ言ってどこが名作なのか理解できなかった。

読書人生数十年、何千冊も本を読み続けて、「人間失格」の良さが
理解できなったからといって、今さら読み込みが足りないとか理解力が
低いなんて言われたくない。

ただ単純に、この作品が評価され過ぎている、みんなが良いと言っているから
名作だと思い込んで読まれ続けているのに過ぎない。

名作だと思う人も良し、思わぬ事もこれまた良し。
そろそろ、たいしたことない「名作」はハッキリ言ってやっても良い時期だ。
私が言ったって、大勢に影響はないんだし・・・。

太宰の人生を、フィクションやカモフラージュも交えつつ
概略をなぞった自伝的私小説。

たしかに頭は良かったんだろうが、かなりクズな人生。
彼が自身の人生を失格と感じたのは、頭が良かったからだが、
だったら、どうして悩んでないで建設的に生きなかったのか。

生まれが良くて金もあり、東大に入って作家としても成功してゆく。
お金を貯めて堅実な家庭を築けばいいものを、そうできなかったのが
天才作家というから、青少年が小説家になりたいと思うことを
一般父兄は恐れるのかもしれない。






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