2011年11月 第480冊
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モンゴメリ 「赤毛のアン」 新潮文庫
中学校の頃、日曜日の朝、アニメ(再放送)で観てたなぁ。
それに感化された母親が文庫を読んで大感激
(アンブックス全十巻読んでた)。
読め読めとあんまりにもうるさいので、高校生になって
「何で今さら赤毛のアン・・・」と読んでみたら、
それはそれは感動した。
あれから随分経ち、フと思いついた。
「赤毛のアン」の続編を読んでみよう・・・♪。
ところが几帳面なわたし、久々に読むんだったら、
もう一度最初から読んだほうが。
そんな訳で、今さら「赤毛のアン」を読んだのでした。
古本を買ったので、村岡花子の旧訳です。
そうしたら面白いもんですね、細かなところをほとんど忘れている。
昔読んだ文庫も今回読んだ文庫も同じ新潮文庫の村岡花子旧訳だから、
版が違うのでない。
高校生のとき読んだままなのにだ。
自分の記憶力の無さに、あらためて愕然とする。
原題は「グリーンゲイブルズのアン」でして、
村岡旧訳ではかたくなに「グリンゲイブルズ」と
訳しているのが微笑ましい。
グリンゲイブルズとは、「緑の切妻屋根」という意味で、
アンが養われたクスバート家邸宅のこと。
高校教師夫婦の一人娘として産まれたアン、
幼いころ両親が立て続けに高熱で死去。
孤児となったアンは、各地を転々とたらい回し。
最終的に孤児院に居た所を、「男の子」を
欲しがっていたクスバート家に手違いで貰われる。
冒頭からうまくクスバート家に収まれるのかハラハラするが、
天衣無縫なアンの心情に周囲の人たちはほだされてゆく。
家族となったクスバート家のマシュウとマニラ、
近所の人たちや親友ダイアナ、学校での生活やピクニック、
町での出来事、四季折々の美しいプリンスエドワード島の描写が
素晴らしく、アニメ「赤毛のアン」の映像を思い出しつつ、
純文学の面白さを久々に堪能した。
終盤ではクイーン学院(今で言う高校だが、戦前日本でいう師範学校の
役割となっている)を卒業し、奨学金を得てレドモンド大学に進学が決まる。
この終盤が幸福の連続で、今まで山あり谷ありだったアンの生活に反し、
幸福ばかり意図的に続く。
それだけに、いつ不幸がやってくるのかハラハラさせ、
小説の筋としても良く出来ている。永年のライバル、ギルバートとの
確執や対抗意識が少女らしく描かれ、この二人の行方も上手い。
アンブックス全十巻の第一冊。
ようやく彼女のスタート地点を再確認したばかり。