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2011年11月 第481冊
紀田順一郎  「二十世紀を騒がせた本」  新潮選書

紀田順一郎  「二十世紀を騒がせた本」  新潮選書

この人の本はどれも面白く、私と波長が合う。
こういった人が売れに売れて、もっともっと沢山の本が出回っていたら
嬉しいのに、あまり見かけないので蒐集した著作を少しづつ大切に読んでいる。

本書の着眼点も実に面白く、「素晴らしい」とか
「傑作・名作」という着眼ではない。

「騒がせた本」を選定条件に、なるほどと思う本あり、
?と思う本あり、書名だけは知っていたが内容は
それほど知らなかった本あり、なかなかな選定をしている。

十冊を採り上げ、本の中味から作家の人生まで学術的だが簡潔
(ちょっと小難しく、それでいて面白く)に述べられている。
その全十冊のうち、興味深く読んだ数冊を紹介しよう。

●フロイト「夢判断」
フロイトがこんな人だったとは、全然思わなかった。
多少でも彼の伝記や抄伝を読んでいれば知っていることだろうが、
有名な「夢判断」が刊行された当時の反応や、彼の人生が実に興味をそそられる。

●ミッチェル「風とともに去りぬ」
これまた有名すぎる一冊だが、書かれた背景や、そういえば著者ミッチェルの
他の作品はどうして思い浮かばないんだろう?といった裏事情が実に良く判る。
映画で感動した人なら、是非、読んでおかれると面白い話。

●ルィセンコ「農業生物学」
紀田氏のすごいとこは、こういった文芸以外の造詣も深いとこ。
私はこの本がどれほど多くの人に(悪)影響を及ぼし、
その世界では有名すぎたことを知らなかった。

おそらく本書を読まねば、知らずに終わった話だろう。
今後ソ連の歴史が赤裸々に書かれた本が歴史書として出てくるだろうが、
驚く話が多いことだろう。

新潮選書として1993年初版されているが、丹念に古本屋を
回らないと見つからないかもしれない。
見つけたら、出来るだけ買って読んだ方がいいよ。






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